血糖値は安定しているけど、毎回尿検査で出る「潜血」が気になる 患者さんへの対応について
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今回のコラムは、血糖値は安定しているけど、毎回尿検査で出る「潜血」が気になっている 患者さんへの対応についてです。薬剤師と患者さんのやりとりから、どのように対応するのが適切なのかを考えてみましょう。
患者の状況
患者 | 81歳 女性 Dさん |
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薬局ご利用状況 | 内科 |
服用中のお薬 | ◼︎メトホルミン塩酸塩錠250mg 1回1錠、1日2回朝夕食後 30日分 ◼︎ボグリボースOD錠0.2mg 1回1錠、1日3回毎食直前 30日分 ◼︎シタグリプチンリン酸塩錠 100mg 1回1錠 ◼︎アトルパスタチン錠5mg 1回1錠 ◼︎アムロジピン錠5mg 1回1錠、1日1回朝食後 30日分 |
血糖値 | 食後2時間血糖値129 HbA1c6% |
薬剤師と患者のやりとり
薬剤師:
今日は検査値も教えていただきありがとうございます。血糖コントロールはいいですね。
患者:
血糖値はいつもこれくらいで安定しているのだけど、毎回尿検査で潜血が出ているのよ。
薬剤師:
今回の検査結果では潜血±になっていますね。
患者:
毎回±でマイナスになったことがないのよ。先生は何も言わないし、潜血が気になるのよ。
【問題】
上記のやりとりから薬剤師はどのような対応をとるべきでしょうか?
(複数回答可)
- 気にしすぎであると注意する
- ±はほとんどが正常と判定されることを説明する
- 陽性であっても必ずしも病気が影響しているわけではないことを説明する
- 糖尿病による腎障害が起きていることを伝える
【正解】
2、3
解説
健診などでは主に簡便な試験紙法の尿潜血検査を行います。腎臓から尿管、膀胱、尿道にかけての出血の有無をみています。血尿の正確な定義は、尿の中の赤血球が増加することです。尿潜血検査は血液中の赤血球に含まれるヘモグロビンの鉄分に反応しますが、筋肉中のミオグロビンにも反応します。
赤血球がない場合でも陽性になることがあります。ミオグロビン尿は筋組織が急激に破壊される時に見られ、ハードな運動をした後に出る可能性もあります。
尿潜血陽性の場合に尿沈渣を行う流れになります。尿沈渣は顕微鏡で見て赤血球を数えることで判断します。顕微鏡で見てわかる顕微鏡的血尿と肉眼で見てわかる肉眼的血尿(赤~褐色の尿)があります。
尿潜血の検査結果は、-(マイナス)・+(プラス)・±(プラスマイナス)で示されプラス値は最大「3」まであり、数字が大きくなるにつれて病気の可能性が高くなっていきます。基準値を「陰性(ー)」とし、「(+)(±)」は要注意、「(2+以上)」を異常としています。
潜血が出たからといって病気にかかっているというわけではありません。潜血は病気以外にも痔・月経血の混入・一時的なストレス・激しい運動などによっても陽性となることがしばしばあります。
今回のケースでは毎回±の結果で陰性にならないことを心配されています。±は要注意ですがほとんどの場合において正常と判定します。患者の抱えている不安や心配を受け止め、それに対して適切な情報提供とサポートを行うことが重要です。
かかりつけ薬局として、患者が不安を解消できるような対応が求められます。定期的なモニタリングや検査を行うことで、病気の早期発見や適切な対応が可能となることも併せてお伝えしましょう。