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アルカリ性食品とはどういうものかを患者から聞かれた時の対応について

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今回のコラムは、アルカリ性食品が体に良いと聞いて、どんな食品がアルカリ性か知りたい患者への対応についてです。薬剤師と患者のやりとりから、どのように対応するのが適切なのかを考えてみましょう。

患者の状況

患者78歳 女性 Dさん
薬局ご利用状況既往歴:高血圧、脂質異常症
かかりつけ薬局としてご利用いただいている

薬剤師と患者のやりとり

患者:
ちょっと聞きたいことがあるのだけどいいかしら?

薬剤師:
はい、今日はいかがされましたか?

患者:
アルカリ性食品が体にいいって聞いたのだけど、どんな食品がアルカリ性なの?

薬剤師:
アルカリ性食品ですか?

患者:
そう、なんかアルカリの方が体にいいっていう本が最近出ていて、その本は図書館に置いてなくて見ることができなかったのだけど、どういうものがアルカリ性食品なのか知りたいのよ。

薬剤師:
今お調べしますね。

患者:
一人暮らしだから元気で長生きしたいのよ、だから健康情報はしっかりチェックしているのよね。

【問題】

上記のやりとりから薬剤師はどのような対応をとるべきでしょうか?
(複数回答可)

  1. 血液は食事に関わらず常に弱アルカリ性ですよ
  2. スーパーフードのスピルリナはアルカリ性です
  3. 日常の食生活でいろいろな食品をバランス良く食べることが大事です
  4. 大豆製品・野菜・果物・海藻・きのこなどの食品です

【正解】

すべて

解説

近年の学問の進歩により、今日の栄養学の書物からは食品を酸性やアルカリ性に分類することはほとんど見られなくなりました。以前、「体が酸性に傾くと免疫力が低下してさまざまな病気を引き起こす可能性がある」と言われ、「アルカリ性食品を積極的に摂ろう」という事がブームとなりました。最近もこのような本が出版されています。

人間は恒常性維持機能(ホメオスタシス)を備えているので、人間の血液は弱アルカリ性(ph7.35~7.45)に保たれています。なので、アルカリ性食品をたくさん食べることで血液がアルカリ性になるわけではありません。

酸性・アルカリ性食品の区別はその食品を完全に燃やして残った灰(無機質)を水に溶かしたときに酸性になるか、アルカリ性になるかで判別されます。肉や魚などのたんぱく質を含む食品は一般に酸性食品に分類されます。

たんぱく質は分子構造のなかにリンやイオウを含んでおり、灰化するとこれらが残り強い酸性を示すためです。一方、野菜や果物はカリウム、ナトリウム、カルシウムなどを含み、灰化するとアルカリ性を示すのでアルカリ性食品といわれます。酸っぱいものが酸性食品というわけではありせん。

酸性食品に偏った食事では高カロリー、高脂肪(動物性脂肪)となり生活習慣病を引き起こす可能性があるので、アルカリ性食品をしっかり摂ることは大切です。酸とアルカリのバランスをとることを強調することによって、「栄養的なバランス」「自然にとれてくる」ことが期待できます。しかし、食品をどちらかに区別するのではなく主食・主菜・副菜を揃えた食事で健康づくりに取り組むことが重要です。

スーパーフードの王様といわれるスピルリナはタンパク質、糖質、脂肪酸、ビタミンをはじめ、日常の食生活で不足しがちなカルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛などミネラルもたっぷり。つまり5大栄養素をすべて含んでいるアルカリ性食品です。

時間に追われる現代人の食生活は酸性食品に偏りがちのため、食生活のサポートとしてスーパーフードを活用するのも良いでしょう。